最近、自分の山友さんが“ぎっくり腰”で来院されました。
洗濯物を干そうとしたが、洗濯バサミを落とし、拾おうとかがんで立ち上がる瞬間に激痛が走った・・・とのこと。
日頃、山を登り、普段は農業にいそしむ、とても丈夫な方ですが、ちょっとした動作で“ぎっくり腰”になってしまうものですね。
自分も時々「あ“～、やっちまった！」というときがあります。“ぎっくり腰”のベテラン？からすると、タイヤ交換や書類箱を持ち上げるときは気合を入れて十二分に気をつけますが、油断した、軽い中腰動作で痛めることが多いように感じます。
ちなみに「ぎっくり腰」は通称であり、正しくは『急性腰痛症』という病名です。
～健康な腰は“ぎっくり腰”にはなりません！～
① ポッコリお腹は”ぎっくり腰”へのステップ？！
“ぎっくり腰”は、腰だけが原因で痛む訳ではないのです。
腹筋が弱くなると、お腹がポッコリ出てきます。
しかし、それだけではなく実は背筋、背中の筋肉も同時に弱くなっているのです。
社会人になると、若い時や学生時代に比べて圧倒的に運動量が減っていきます。
車や電車の通勤、残業、子育てに家事とやることが多すぎて、運動までする気力と時間が持てない。あるいは、ポッコリお腹や体形は気になるがジムに行く余裕や時間がない。
その間に、２０代にピークを迎え、蓄えていた筋肉は、悲しいかな脂肪に置き換わります。
また運動を伴わないダイエットをすると、脂肪と一緒に大事な筋肉もダイエットしてしまい、さらに筋力が減ってしまう悪循環に陥ります。
一般的に筋肉量は２５歳でピークを迎え、６５歳までの４０年で、約２５％減少し、８０歳までの１５年で更に２５％減少するといわれています。
つまり、何もしなければ８０歳になったときは若い頃の半分しか筋肉が残っていない計算になります。
② 腸腰筋が“ぎっくり腰”のカギ
“ぎっくり腰”になると「靴下がはけない」「洗面台で顔を洗えない」「座った姿勢から立ち上がりがキビシイ」などの訴えが多く上がります。
これらの動作は腸腰筋の作用ですが、“ぎっくり腰”では一番痛みの原因になる筋肉です。
腸腰筋は深層筋であり体幹部 つまりインナーマッスルです。
腸骨筋と大腰筋の二つを合わせて腸腰筋と言います。
・腸骨筋は姿勢維持、腰椎前彎の保持、股関節屈曲および外旋の作用。
・大腰筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉で ①脊柱の安定 ②腰椎前彎の形成 ③股関節の屈曲と、まさしく“ぎっくり腰”で出来なくなる運動作用を担っている筋肉です。
長時間のデスクワークや車の運転、テレビの前で座ったまま動かない姿勢が続くと腸腰筋はストレッチされることなく短縮し、こわばったままの状態になります。
この短縮し、こわばった状態の腸腰筋に強い負荷がかかると、痛みで腰が伸ばせない、それ以上前屈みにもなれない、固まったまま何の動作もできない”ぎっくり腰”になるのです。
③ もしも”ぎっくり腰”になってしまったら
やってはいけないことがあります。
【お風呂や温泉でじっくり温める】
一見、とても良さそうに思えますが、患部が炎症を起こしている可能性があります。
”ぎっくり腰”の場合、筋断裂（肉離れ）がおこると、微小な出血が起こることがあります。
温めた場合、血流が良くなり出血が増えて、痛みが強くなり炎症が悪化する場合も考えられます。
I. ”ぎっくり腰”では患部を冷やす
捻挫や肉離れでは患部を冷やします。
同様に“ぎっくり腰”でも痛めた筋肉の炎症や出血を抑えて症状悪化を防ぐことが出来ます。ただし冷やす時間は１０分程度にしましょう。それ以上冷やすと逆に血管の反応で血流が増加して痛みが増す場合があります。
II. 早めの“ぎっくり腰”治療がオススメ
「痛いけど、まぁそのうち治るだろう」痛みがひどくなってから治療に訪れる方は、良くこのようにおっしゃいます。
確かに『自己治癒力』で時間さえあれば自然に治ります。
しかし健康な腰は”ぎっくり腰”にはなりません。
治療して治ったとしても、以下のような場面に心当たりがある方は要注意です。
・悪い姿勢や座りっぱなしで長時間の運転やデスクワークが続く
・筋肉疲労の蓄積
・普段から運動不足
・運動しないことによる筋力の低下
・姿勢にゆがみがある
風呂上りにストレッチで筋肉の柔軟性を保つ、散歩や水泳、ヨガなど激しくない運動からスタートしてみてはいかがでしょうか？
”ぎっくり腰”で痛めてしまった場合は、早急にはり治療で炎症を抑えつつ、筋肉をほぐし、根本治療で姿勢のゆがみを矯正することも肝心です。
〔げんきやはりきゅう整骨院〕では、お体に合わせた治療と骨格のゆがみを診ながら矯正やストレッチの仕方なども提案させていただきます。ぜひお気軽にご相談くださいね。
