寝違え

寝違えとは

①「寝違え」は医学的な病名ではなく、正式には「急性疼痛性頚部拘縮」と言います。不自然な姿勢で長時間寝たりする事で、首に無理な負担がかかり筋肉や靭帯などに急性の炎症が起こって痛みや動かしにくいと言った症状が現れると考えられています。

②症状

眠っていて目が覚めた時に、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出る事が有り、いわゆる「寝違え」と言います。首を動かすと痛みが出る時も有りますし、痛みで首を動かせない時も有ります。

③原因と病態

何が起こって痛みが出ているかについては、色々な意見が有りますが検査や画像でとらえられる様な変化がないのが一般的なので、正確な原因であると言う証拠は有りません。睡眠中不自然な姿勢が続いた為に、一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり時にしこりとなっている。前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している(こむら返り)。頸椎の後ろの関節(椎間関節)の袋(関節包)に炎症が起こるなどの原因が考えられています。

筋肉の阻血、疲労や関節包の炎症を引き起こすのは、上肢の使い過ぎ(手で重い物を持つ動作は頚の後ろの筋肉に負担が出ます)。同じ姿勢の持続(飲酒後の睡眠や疲れ果てての睡眠などでは寝返りが少なくなる。パソコンや事務作業が長時間に及ぶと頭を一定位置に保持する為に頚部の筋肉に負担が生じる)。が原因の場合が多いと思われます。いずれにしても、外傷(けが)ではなく軽い病気です。

④診断

起床時に痛くなり、数時間から数日で痛みが改善して行くようなら、徐々に首を動かして行く事で治って行くのが一般的です。痛みが強い場合には、整形外科を受診して他の病気の可能性がないかを調べてもらいます。例えば、手足のしびれはないか?手足の動きは正常か?深部反射(ハンマーで手足を叩いて反応を見ます)は正常か?X線写真で骨が溶けたりしていないか?などを診察します。「寝違え」の場合には、首の動きは制限されていますが、上記の診察や検査では変化は認めません。痛みが治らず診察で異常がある場合には、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症、転移性脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、強直性脊椎炎、関節リウマチ等の本格的な病気の可能性も有りますし、肩こりの症状が強いだけの場合もあります。要は、寝違えが治らない場合には、整形外科を受診して調べてもらう必要があると言う事です。

⑤予防と治療

動かすと首が痛いので、寝違えが起こった時には痛い方向には動かさずにいる方が良いでしょう。医療機関で処方される湿布には炎症を抑えて痛みを取る薬剤が含まれていますので、痛い部分に貼るのは有効です。鎮痛消炎薬や筋弛緩薬の内服も有効でしょう。可能なら緩やかにストレッチするのも有効な場合が有りますが、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果の場合があります。筋肉の痙攣が原因の場合には、こむら返りの治療で使う漢方薬が有効な事も有りますし、痛い筋肉や筋膜に局所麻酔薬を注射する方法が有効な場合もあります。マッサージが有効な場合もあるかもしれませんが、余計に痛くなる場合には良くありません。いずれにしても、治療の効果を見ながら治療方法を考えていく必要がありますので、整形外科医への受診もお勧めします。

⑥鑑別診断として

#1 頚椎椎間板ヘルニア

症状

首や肩、腕に痛みや痺れが出たり(神経根の障害)、箸が使いにくくなったり、ボタンがかけづらくなったりします。又、足のもつれ、歩行障害が出る事も有ります。(脊髄の障害)

原因と病態

背中をつなぐクッションの役割をしている椎間板が主に加齢変化により後方に飛び出す事によって起こります。30~50歳代に多く、しばしば誘因なく発症します。悪い姿勢での仕事やスポーツ等が誘因になることも有ります。髄核が飛び出す場所により、神経根の圧迫、脊髄の圧迫あるいは両者の圧迫が生じます。

診断

頚椎を後方や斜め後方へ反らせると、腕や手に痛みや痺れが出現(増強)します。その他、手足の感覚や力が弱い事、手足の腱反射の異常等で診断します。MRIで神経根や脊髄の圧迫を確認して、診断を確定します。(整形外科医)

#2 肩こり

症状

首筋、首の付け根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがして、頭痛や吐き気を伴う事があります。肩こりに関係する筋肉は色々有りますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋と言う幅広い筋肉がその中心になります。

原因

首や背中が緊張する様な姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背、前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。

診断

問診や神経学的診察、特に触診で僧帽筋の圧痛と筋緊張、肩関節の可動域や頸椎疾患のチェック等で診断します。X線(レントゲン)撮影の他、必要によりMRI、筋電図、血圧測定などの検査も行います。頸椎疾患、頭蓋内疾患、高血圧症、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患の随伴症状としての「肩こり」も少なくありません。

⑦寝違えやすい人っているの?

最近何度も寝違える事が増えた。何度も繰り返していると言う場合には、寝違えを起こしやすい状態に陥っている可能性が考えられます。例えば、次の様な姿勢や日常動作を繰り返す事が多い人は寝違えを起こしやすいと言えます。

“腕の使い過ぎ、重たい物を持つ事が多い。

“運転やパソコン作業など同じ姿勢を長時間続ける事が多い。

“寝返りを打つことが少ない。

“運動不足である。

特に近年はパソコンやスマホの普及により、同じ姿勢を長時間続ける事が増えていて、首の周りに負担がかかりやすくなっています。そのような疲れや姿勢の悪さにより感覚が鈍る事で寝違えやすくなる場合もあると言われています。

ただし、首への負担があまり強い場合や首の違和感を頻繫に感じる様であれば、他に原因がある可能性もあるので一度病院で相談する事をお勧めします。

⑧寝違えが起こしやすいシチュエーションは?

「なぜ今日に限って寝違えてしまったのだろう?」と不思議に思うことも有るかもしれませんが、実は寝違えには起こりやすいシチュエーションがあるのです。あなたが寝違えてしまった原因は何でだろう?

#1深酒をして帰ってきて、そのまま寝てしまった。

#2仕事で疲れ果てて、そのまま普段とは違う姿勢で寝てしまった。

#3ソファーやこたつ等、いつもと違う場所で寝てしまった。

#4合わない高さの枕やベッドで寝ている、枕から頭が落ちていた。

#5忘年会シーズン、送別会シーズン等で付き合いが最近多い。

#6気温や室温が低くても体が冷えている。

#7掛け布団をかけずに寝てしまった。

#8パジャマや寝間着ではない外出着のまま寝てしまった。

疲れきってしまった時や深酒をした時は、変な姿勢で寝てしまうだけでなく、十分な寝返りを打てなくなる事も多くなり、寝違えを起こす原因になり得ます。又、自分に合った枕やベッド布団を使っていない事も、寝ている間の体勢や寝返りに影響しやすくなります。更に「冷え」が原因になる事も有ります。うっかり深酒してそのままの服装でソファーに倒れ込んで寝てしまった。・・・なんて状況は寝違えを引き起こしやすい危険なシチュエーションと言えます。

⑨寝違えを防ぐための対策

寝違えを防ぐには、寝ている間の姿勢と睡眠までの過ごし方の両方に気を付ける事が大切です。辛い状態を繰り返さない為、次の予防対策を取り入れてみましょう。

#1 枕を見直す

自分に合っていない枕を使っている事が、寝ている間の首や背中に無理な負担をかけている可能性があります。最近枕を変えたばかり、長年使っている枕がへたってきていると言う方は、枕を見直すと良いでしょう。首に余計な負担をかけない様に自分の頭に有った高さ、硬さ、形状の枕を選ぶ事がポイントです。

#2 布団、マットレスを見直す。

正しい首の位置、寝相で寝るには枕だけでなく、布団とマットレスの硬さも自分に合っているかどうか見直す事も大事です。柔らかすぎるのも、硬すぎるのも睡眠時の体に負担をかけてしまうので、適度にフィツトする低反発タイプなどを試してみるのも手です。身体にかかる圧力を分散して衝撃を吸収するので、睡眠時の体への負担を軽減されやすくなります。仰向け、横向きのどちらでも無理のない自然な姿勢をサポートしてくれる布団マットレスを選ぶようにしましょう。

#3 寝室の室温を見直す。

寒くて動きが悪くなったり、固まりやすい冬場に成ると寝違えやすくなる人もいます。又、夏でもエアコンの効かせ過ぎで朝起きたら寝違えていた。・・・なんて事もあるでしょう。寝室の室温は夏場なら25~26度、冬場では22~23度位の適温に合わせる様に上手にエアコンを利用しましょう。

又、室温だけではなく、首と肩回りを冷やさない様に掛け布団をしっかりと首周辺まで掛けて寝る事も大事です。

#4 泥酔した状態では寝ない。

泥酔した状態では寝返りが少なくなったり、普段とは違う場所で寝てしまったり、不自然な姿勢で寝てしまいがちです。枕が外れた状態で寝てしまって、朝起きたら寝違えていたなんて事も有ります。泥酔したまま寝てしまう事がない様に、酔って帰ってきたら一旦酔いを覚ましてから寝る事が大切です。

又、パジャマや寝巻ではない外出着や窮屈な服装で寝てしまうと、体が緊張しやすく不自然な寝姿勢になりがちです。酔って帰ってきた時でも、寝るための服装に着替えてきちんと寝床で寝る事を心がけましょう。なるべく泥酔するほどお酒を飲まない様にする事も大事です。

#5 ベッドや布団以外の場所で寝ない。

深酒した時や疲れ果ててしまった時などはベッドや布団以外の場所で寝てしまいがちですが、寝違えを引き起こしやすいNG行動です。

直ぐに寝てしまいたい時でも、ソファーやこたつ等違う場所で寝ないでベッドや布団で寝る事が大切です。ベッドの上に物を置いたりせず、いつでも直ぐに横になれる様に寝室の環境を整えておきましょう。

#6 就寝前に入浴する。

入浴には体の深部から温めて、リラックスする効果があります。緊張状態を和らげる事で寝違えの予防にもなるので、入浴で体を十分に温めてから寝るようにしましょう。ただし、寝る直前の入浴は逆に睡眠の妨げになる事もあるため、就寝前2~3時間前の入浴がお勧めです。

#7 運動やストレッチを習慣づける。

運動不足、デスクワーク中心の生活は、寝違いを引き起こす要因の一つです。運動やストレッチでほぐす事を習慣づけると寝違えの予防につながります。定期的な運動やデスクワークの合間、寝る前等のストレッチを習慣づける様にしましょう。ただし、寝違えた直後で動くのが辛い時は悪化させる可能性があるので、無理に動かさない様にしてください。

#8 まとめ

辛い寝違えを二度と起こさない様にするためには、寝ている間の体勢を整える事が第一です。その為には、枕や寝具を見直して無理のない体勢で寝られるように工夫しましょう。又、寝る前までの時間の過ごし方、日頃の生活習慣も関係します。どうして寝違えてしまったのか原因を突き止めて、二度と繰り返さない対策を取り入れて行く事が大切です。

参考文献

肩、首、腰、頭デスクワーカーの痛み全部とれる医師が教える最強メソッド

株式会社 かんき出版 2020年 7月8日 遠藤 健司

肩、ひざ、腰の痛みは動いて治す! 日本文芸社 2017年 4月12日 若野 紘一

肩こり、頭痛、腰痛をラクにする特効法101 主婦と生活社 2014年 4月21日 佐藤 正子

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