毎日の挨拶が「暑いですねぇ」から始まります。
いったい、いつまで暑いんでしょうか?
岩手県の盛岡市はお盆が過ぎれば夜はヒヤッとして20℃を下回るのが常ですが、今年はいまだに窓全開でも、なお暑いといった状況です。
自分が学生だった頃は、エアコンが学校になくても何とか過ごせたものですが、今はエアコン完備でないと勉強に集中できないでしょうね。
さて当院は、文教地域にあることから小学生から大学生の患者様もいらっしゃいます。
多くはスポーツ障害で、捻挫やシンスプリント、疲労骨折の後療などが目立ちます。
最近は足底の土踏まず、つまり縦や横のアーチが弱くクッション性がない為にスポーツ障害に発展するケースが多く見受けられます。
今回はアーチを形成する足の裏側 “足底筋膜炎”のお話です。
“足底筋膜炎”は「朝起きて床にかかとを着いたとき、鋭い痛みを感じ、動いていると徐々に痛みが引けて来る」といった訴えが多く聞かれます。
足底腱膜はつま先から踵(かかと)まで足の裏を縦に走っている分厚い膜です。
その膜が踵に付着しているところに炎症が起こると“足底筋膜炎”という症状になります。
① “足底筋膜炎”はなぜ起きる?
“足底筋膜炎”が起こる患部の足底腱膜は、つま先から踵にかけて着いており衝撃吸収の役割をするとされています。
主にランニングやサッカー、バスケットボール、バレエなど足裏に負担のかかる運動、他にも体重増加も足裏に負担がかかります。ランニングやジャンプ動作で足底腱膜に体重移動の負荷による衝撃(圧迫力)と強く引っ張られる力(牽引力)の両方が繰り返し起こると踵付近で小さな損傷が起こります。その傷が出来ても、足底腱膜を充分休ませられたなら症状は起きませんが、部活動や大会に出場するための練習といったオーバーユース(使い過ぎ)があると、損傷が治りきらない状態になります。傷が生じると体は血流を良くし血管を増やして、自己治癒をしようとします。しかし血管と神経は一緒に増える性質があり、足底腱膜の損傷部分に血管と神経が増殖して、鋭い痛みを引き起こす原因となってしますのです。
② “足底筋膜炎”はどんな人がなりやすいの?
・トレイルランニング、マラソン、陸上競技、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど、走ったりジャンプ等の踏み込む動作が多いスポーツをする人
・クッション性のない靴を履いている人
・長時間の立ち仕事、硬いコンクリートやアスファルトの上で仕事をする人
・足の筋力が低下している人
・偏平足あるいは土踏まずが高すぎる人
・肥満、急激に体重が増えた人
いずれも足底腱膜に負担がかかる人が“足底筋膜炎”になりやすい傾向にあります。
③ “足底筋膜炎”の治療とは?
患部が痛む=炎症が起きているうちは部活動や練習は別メニューで、足底腱膜に負荷をかけないトレーニングをしましょう。
早急に痛みを取るには、痛む部分への鍼治療が効果的です。
また鍼治療の他に関連する筋肉をほぐして治療しながら、足底のアーチ強化のための【タオルギャザー運動】の指導なども行います。
テーピングで足底腱膜の補強を行うことも有効です。
④ “足底筋膜炎”の予防
🔶 オーバーユースを避ける
すでに”足底筋膜炎”の症状が出現している場合は安静にすることが治る一番の近道ですが、日頃からオーバーユースにならないように練習量をコントロールするなどして、足底腱膜に疲労を蓄積させないようにしましょう。
🔶 クッション性のある靴を選ぶ
重い安全靴や硬い革靴、ソールの薄いサンダルなど、クッション性のない靴を履いていると、足底腱膜に負担がかかります。土踏まずにクッションがあるインソールを使うなどして衝撃を吸収させるようにしましょう。偏平足あるいは土踏まずが高すぎる人には効果的です。
🔶 足底腱膜の筋力強化と柔軟性をアップさせる
足の筋肉が低下したり、柔軟性がなく足裏が硬い方は足底腱膜が引っ張られストレス(強い牽引力)がかかり、炎症を起こしやすくなります。 “足底筋膜炎”にならないためにタオルギャザーなど足底の筋力の強化、ふくらはぎの筋肉の強化やストレッチで柔軟性と筋力アップを目指しましょう。
暑さ寒さも彼岸まで・・・と言いますが、この暑さは今年だけの異常気象であって欲しいものです。
皆様も、こまめな水分補給、適切なクーラーの使用、お出かけには日傘などで熱中症対策をして、健やかにお過ごしくださいませ。